個人セッションってどんなの?

子どもさん一人と、セラピスト二人(※メインで関わるセラピストと、その協力体制にあるコ・セラピストがいます。
セラピスト二人体勢をとる理由は、たとえば一人がピアノを弾いて音楽を生み出しながら、
もう一人が子どもさんのそばで間身体的に感じられることを通して、よりそのときの気持ちにフィットした展開 を可能にする、という利点があるからです。また、複数の目があることで、思い切った動きや、立体的な子どもさん 理解も可能になります。)で過ごす音楽療法のことを、「個人セッション」と呼びます。
基本的には、月1〜4回程度、1回30分行います。
いろいろな楽器の置かれた部屋に、子どもさんが入室し(保護者の方や付添の方は、外で待っていただきます。
場合によっては、一緒に入室してもらうこともあります)、セラピストと、即興的な音楽と共に、自由に過ごします。 主に使用する楽器は、ピアノ(電子ピアノ)、フロアタムやパドルドラムなどの太鼓類、タンバリンや、鈴、マラカスなどの小物楽器、デスクベル、ハンドベル、ツリーチャイム、シンバルなどです。



「自由」に過ごすって?プログラムはないのですか?


たのしい音楽療法研究所の個人セッションでは、すべてが即興的に組み立てられていきます。その日の気分によ って、子どもさんがしたいことや、何かに向かうエネルギー、集中力などは、さまざまです。「いま、ここ」で の子どもさんの気持ちの動きを大切にキャッチして、そのとき一番「しっくりくる状態」で過ごしてもらうこと が、心の健康にとって何より大切だと考えます。
子どもさんによって、またそのときの気持ちの状態によって、「音楽療法の部屋」でやりたいことは本当にさま ざまです。たとえば、好きな曲をリクエストして歌ったり、じっくり耳を澄ませて味わったり、ひたすら体を動 かしてたくさん汗をかいたり、ピアノを弾いてみたり、踊ったり…。
もちろん、長く過ごしていく間に、自然と生まれた「あいさつの歌」が毎回の定番になることもあれば、「まず は楽器を鳴らして、それから踊って…」というように、子どもさんごとに「過ごし方のかたち」はゆるやかに定 まることもあります。
また、おなじみの既成曲で楽しむこともたくさんあります。
「自由は不自由」と言われることもあるように、「好きなことをしろと言われても…」と戸惑う子どもさんが多いのは当然(私も苦手です)。そのようなときは、息苦しくならないように、セラピスト側からもいろんな提案 をしていきます。

たのしい音楽療法研究所の何よりの特徴は、「子どもさんを、外側から設定した枠の中におさまるようにセラピ スト側が引っぱっていくのではなく、子どもさんから出た音や声、雰囲気やしたいことから、セッションを展開 していく」という点にあります。
これは、日本の音楽療法の草分けである、山松質文先生の考え方が大きく関係しています。
山松先生は、ロジャーズの来談者中心療法の考えをとる、心理治療者で、主に自閉症の子どもさんの音楽療法に 携わっていた人です。
ここに、その考え方の一部を引用します。
『筆者は音楽療法を、音楽による心理治療と解している。また筆者は、心理治療を医療行為の一環としてでなく、 教育活動の一環と考えている。ただし、ここにいう教育とは、外から知的資源を提供するいわゆる教えることに 主眼をおくのではなくて、その本人が元来もっている可能性をひき出すこと、換言すれば心を育てること、端的 にいえば、教育の教のほうではなく育の方に主眼をおいた教育の原点ともいうべきものを意味している。ここに おいて、教育とはまずもって精神的健康をめざすことである。ここにいう精神的健康とは、「自分の気持ちを自 由に表現すること」と解している(山松,1984)』
そのため、音楽や、セラピストは、子どもさん自身の内側から出てくる自己表現が、より生き生きとしたものに なるようにサポートしていきます。



受けたらどうなるの?


受けてみてもらわないことには、何ともいえない…というのが正直なところです(体験会やお試しセッションも可能 ですので、ぜひ一度、気軽に体験してみてくださいね♪)。 が、それではあまりにあまりなので、おおまかに書くと、たとえば自閉症圏のお子さんなどは、以下のような流れに
なる場合が多いです(もちろん、一人一人違いますし、このようにおおまかに書いてしまえば同じような経過でも、 その中身は一人一人、それぞれユニークに展開されていきます)。
・不安・緊張の時期
・部屋で過ごすことに慣れ、楽器や、部屋の中にあるものに興味をもつ。
・セラピストの存在を意識し始める(もちろん、初期の頃のセラピストを「無視している」ような状態も、「なんだかわからないもの」としてセラピストの存在を「意識している」姿なのではありますが)
・セラピストと親しくなり、楽しく遊び始め、楽しさを共有するような笑い合いなどが生まれる。
・コ・セラピストにも興味を向ける。
・自分が遊びの中心となって、生き生きと楽しむ。
・セラピスト、コ・セラピストの内面の動きにも気持ちが向かうようになり、役割交代をしたり、こちらの意見にも乗ってきたりするようになり、遊びがさらに展開されていく。
・生活の一部としての音楽療法の継続、または、心の拠り所がその他にもしっかりと確立されたことによる、セッションの終結


保護者の方の感想

子どもにとってセッションは・・・・
始めのころは、自閉症のの子どもなのでなかなか自分から関わったりすることはなかったのですが、長く続けていく中で、 セラピストが子どもの気持ちに寄り添うように接してくれたおかげで、ゆっくりと心をひらいていったように思います。
今では大好きな優しいセラピストと一緒に大好きな歌をはじけて楽しんじゃう場所という感じ♪
部屋の外の廊下できいていても、思わずこちらまでニコニコしてしまうような、楽しいやりとりが聞こえてきます。
誰かと一緒に音楽を楽しむこと♪気持ちを通わせることを子どもに教えてくれた音楽療法に感謝しています(^o^)。



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